由々しき事態

片手間日記

AM2:11

すべての輪郭がはっきりとした夜だ 私の頭は冴えていた 酩酊した恋人を余所に 久し振りにアルバイトを始めた 週に3日4時間程度のスナックのアルバイトだ スナックの経験はあるけれども まだあんまり知らない町の まだあんまり知らない店の まだあんまり知ら…

AM2:26

初夏の風に攫われて君は消えた 君の匂いが残るベッドシーツ ふたつ並んだ歯ブラシも もうこの部屋では見ることがないと思うと 長い睫毛は影を落とす 未練なんて ひとつもないのに さみしさだけがひとり歩きして 呆気ないんだね こんなことなら ギターなんて…

AM1:29

代わり映えのしないタイムライン 買ったばかりの煙草があと3本しかない 退屈凌ぎにもならないSNSなんか辞めてしまえばいいのに拘り続けている だれも居ない3LDKは広過ぎる 孤独なんて無縁だと思っていたしいまでもそう思っている 寂しいなどという感情は湧か…

AM9:14

君がくれたエチゾラムがほんとうはラムネだったとしても精神は安定する 君から貰ったものは何だって 例えば壊れたライターだとかそんなガラクタも捨てられない その瞬間の記憶を切り取っておきたいから 栞を挟んだ本のように そこからまた始まっていく おは…

AM2:33

ああまた君の季節が来たのだと桜の開花予報を聞いて思った 会いたいと書いて送らなかった 新しく来る春に君の姿が無いのはもう慣れたけれど 色付かない桜は味気ない 愛について考えるのは貴族の特権なので辞めることにする 私は労働に忙しいのだ 桜が散った…

AM4:25

身も心も限界だというのにまた労働地獄に堕ちようとしている 医者から就労不可を言い渡されるまで追い込まれているというのに これは一種の自傷行為で悪い癖だ 先日救急搬送されたばかりでまともに食事も摂れていないので体力がない 正直立っているだけで精…

AM0:39

「明日自殺するから」 Marry Meの瓶を叩き割ったら君のことを思い出してほんのすこしだけかなしくなった 君が現れたとき世界は逆回転を始めて私はそのことに酷く傷付いた 君を絶対に許さない カミサマの悪戯だとしたら趣味が悪過ぎると思う 薬指の指輪が抜け…

PM2:50

不幸ばかりに目を向けて上手くいかない理由を都合の良いように並べ立てては逃げている 自ら選んでそこにいるくせに 差し伸べられた手を振り払ってまで 理解してほしい訳ではない 受け止めてほしいだけだと思う 苦しいとかかなしいとかそんな負の感情を否定も…

AM5:12

会えない理由が物理的な距離だとしたら仕方ないと言い聞かせられるけど 会えない理由が心理的な距離だとしたら きっと 苦しいと思うから いつでも言い訳出来るようにまるで切り札のようにそんな言葉を隠し持つ私は なんてずるいんだろう

AM8:35

綺麗な言葉だけを飾り付ける日々に意味なんてないのだろうけど言葉がぼくという人間を形作るひとつの要素ならばただひたすら美しく在りたいと思うのは悪いことだろうか 全てに於いて意味を求めがちなところがきっとぼくの悪いところ 煩えんだよ

AM5:42

睡眠導入剤の在庫が切れたので寝付けないまま朝を迎えた 羊が164250匹 飽きたからやめることにする 頭を空っぽにする方法が分からない 何の為にもならないようなくだらないことばかり考えてしまう 愛の定義や幸せについて死にたいと嘆く人間に手を差し伸べる…

AM1:14

世界でいちばん愛しているよ ぼくにとって君は渡せなかったチョコレートのような存在だ ぼくの体温で溶けていく甘ったるい暴力 生理食塩水 初恋はみずいろ 脚色だらけのラブレター 本当のことは自慰をしたあとのゴミ箱の中 新宿の電柱は孤独な人間だけの駆け…

PM6:25

ほんのすこし夜の闇が深くなったように感じるのは瞼が重いせいだと彼女は言った うさぎの目 湿度はやや高い 世界は君の都合のいいように切り取られている だから君は君を7人も生み出して絶望に浸す いちばん愛おしいのはいつだってぼくだ 140文字で綴る自由…

AM1:57

有村竜太朗のライブを観て参りました 薄膜のような白い幕が掛かったまま演奏は始まった 照明に当てられてぼんやりとその姿が浮かび上がる まぼろしの世界を観ているんだと思った 目を閉じたらもうそこにはいないんじゃないかと思った なんていうか あまりに…

AM5:17

年末年始の忙しない感じがどうにも好きになれない 時間に分かり易く区切りを付けることも私には意味のないことのように思える 2017年12月31日の続きを生きていく由々です 色褪せて 無色透明になっていく過去も 私の血と肉になっていくのだから 今日を喰らい…